マリアさんは、何を言ったんだろう。


お互いに想いあってる?


理想のカップル??


パーティー会場にいたカップルで理想の……と言えば。


「ああ、桂木さんと藤沢さんとのことですね。確かにあの2人は見ててこちらが幸せになるくらいのカップルでした」

「何を言ってるの。私から見れば、あなたとカイの方がよっぽど自然にしっくりきてたわ。
あなた、解らなかったの?
どれだけカイがあなたを愛しい目で見てたのか。
他の男性があなたに目を向けようものなら、射殺さんばかりに冷たい目で睨み付けてたわよ」

「……それは」


嘘、だと言うのも失礼だから、黙ってるしかない。


それにしても、どこをどう間違えればそんな解釈なんてできるんだろう? そりゃあ、葛城家の人に絡まれた時は助けてもらえたけど。


(彼が本気で私をそんな目で見るなんて……絶対ありえないのに)


朝までの1週間は、ただ単に欲を解消したかっただけ。外出もままならない生活をしてたなら、欲求不満になってたに違いないから、手近な人間で済ませただけだろう。


私だったら家族も友達もいないから……って。訴えても誰にも耳を傾けられないことを見越して。


ものすごく惨めな気持ちになるけど、その立場を選んだのは自分だから。と無理やり納得しようとした。