「好きだ、菜月。すげぇ、好き…」





菜月がいないとこんなにも簡単に言えんだよ。

だけど、こんなこと菜月に伝えないと何の意味もない。

一人で呟いたって空しく響いて消えていくだけ。



いつか伝えたい。

それが何年先かは分かんねぇけど。その時はちゃんと、受け止めてくれれば良いな。

そんな淡い想いを抱きながら俺は涙を流した。





さっきの呟きを、俺をこっそり追いかけてきた菜月に聞かれていたことも知らずに。

願う未来がそう遠くないことを、まだ俺は知らない。







END