「美玲、何書いてるの?」
「え、あ、しょう、せつ……………かな」
萌花に話しかけられて、私は戸惑いながらも返事をした。
「すごっ!!ねぇ今度それ読ませてくれない?」
……………私の小説を読みたいと言ってくれた人は、久しぶりだった。
「い、いいよ。じゃぁ、今度…………」
*
家に帰って、私はすぐにスマホの電源をつけた。
はやく、萌花に小説を見せたかったから。
lineを開くと、通知があった。
『美玲、一言どうしたの?』
……………私にとって、衝撃的な一言だった。
今の私のlineの一言は、
『生きてて何か楽しいことある?』
……………だった気がする。
一言の意味は、とくにはない。
ただ、私は本心しか文字にしないから。
一言は、本心だけだから。
私は本当に、生きている"喜び"がなかった。
生きている"楽しみ"が、なかった。
そのことを、誰かに気づいてほしくて、lineの一言で呟いた。
それを、気づいてくれたのは、萌花が初めてだった。