「美玲、何書いてるの?」


「え、あ、しょう、せつ……………かな」


萌花に話しかけられて、私は戸惑いながらも返事をした。


「すごっ!!ねぇ今度それ読ませてくれない?」


……………私の小説を読みたいと言ってくれた人は、久しぶりだった。


「い、いいよ。じゃぁ、今度…………」















家に帰って、私はすぐにスマホの電源をつけた。


はやく、萌花に小説を見せたかったから。


lineを開くと、通知があった。


『美玲、一言どうしたの?』


……………私にとって、衝撃的な一言だった。


今の私のlineの一言は、


『生きてて何か楽しいことある?』


……………だった気がする。


一言の意味は、とくにはない。


ただ、私は本心しか文字にしないから。


一言は、本心だけだから。


私は本当に、生きている"喜び"がなかった。


生きている"楽しみ"が、なかった。


そのことを、誰かに気づいてほしくて、lineの一言で呟いた。


それを、気づいてくれたのは、萌花が初めてだった。