「美玲が吹部に来てくれてマジでよかった~経験者がいると注意してもすぐ直してくれるし~ねえ?ゆかり?」
小桜さんはゆかりに視線を向ける。
「そ、そうだね。美玲がいると本当に助かるよ?」
「そうそう!だからこれからはなるべく部活に来てほしいな!合奏とかでいないとすごく困るからさ。」
…………さっきとは打って変わった態度。
小桜さんはいつもそう。
突き放したと思ったらまた呼び寄せる。
仲良くなれると思ったら、また突き放す。
一言で言うなら、態度がコロコロ変わる人……………かな。
「うん。これからはなるべく体調崩さないようにするね。」
「うん!よろしくね!」
そして、再び始まる合奏。
2人は楽しそうに吹くけれど、私は違う。
顔の表情なんて変えない。
姿勢だって猫背。
そして目線は……………斜め前の下の床。
前なんて向きたくないから、私はいつも下を向く。
「美玲、なんでいつも下向いて吹いてんの?」
小桜さんが聞いてきた。
「あ、えっと、癖でさ!」
「ふ~ん。まぁいいけど、一応前向くようにしてくれる?印象悪くなるし。」
「うん、わかった……………。」



