本当の友達







体育館はガヤガヤと騒がしい。


今日が予餞会だからかもしれない。


予餞会なんて、面倒なものはほかにない。


3年生をもてなし、1、2年生で芸をしたりする。


私はそんな楽しそうな場所でも、決して表情を崩すことなんてなかった。


「美玲、本番前だからそろそろスタンバイしてくれる?」


ゆかりが言ってきた。


「あ、うん。わかった。」


ゆかりはあれから少しずつ私に話しかけてくれるようになった。


皆がいるときではなく、2人でいるときだけだけれど。


それでも、私にとってはすごく嬉しいことだった。


今日、吹奏楽として発表の舞台に出ることができたのも、きっとゆかりがいたからだと思う。


「……………ありがとう。」


そんな私の声は、体育館に響く笑い声に消え去っていった。