思えば、今の今まで、こんなことはたくさんあった。
その、きっかけさえも。
いつだったかな。
莉乃に、気をつかいはじめたのは。
こう言っちゃいけない。
こういうことはしちゃいけない。
でしゃばっちゃ、いけない───。
全てが全て、嘘になってしまったから。
今まで散々自分を隠して、散々我慢してたのに、挙げ句のはてには裏切られるなんてとんだ災難。
今までの努力はなんだったのか。
『もう口きかないでね。』
気がつけば私は、莉乃にそう送っていた。
数分後、既読がついた。
返信は、こない。
まぁ、当たり前といえば当たり前だ。
どうしてこんな返信をしてしまったのか、自分でもよくわからない。
ただ、憎しみという感情が、私の心を満たしていた。
何故、私が。
何故、私ばかり。
いつもいつも。
私の頬から一線の透明ななにかが流れる。
それを私は、認めたくなかった。
すべてを、否定したかった。