「じゃぁ親御さんにも話して……」


「もう話しました。担任の先生にも。」


「……そうか。」


もう、担任の先生にも、両親にも、吹奏楽部の顧問の先生にだって話した。


全てが、終わったあとなのだ。


両親を説得するのは、苦労した。


特に母が。


『勉強できねぇくせにまた我が儘かよ。』


いつもいつも兄と比べる母が、私は嫌いだ。


父もそれは変わらないのだが、私の意見は聞いてくれる。


両親には、『練習についていけないから』という理由で話した。


両親が納得する理由を、私は頑張って考えたのだ。


最終的に、もう辞めないということを条件に退部が許された。


それ以来、家族はなにかと私にイヤミのようなものをむけるようになった。


勉強できないだの、飽きるのがはやいだの、まぁ、否定し難いものだが。


これから私は吹奏楽部として活動していく。


それは、これから先も変わらない。


2人は私のことを認めてくれる。


2人は私のことを迎え入れてくれる。


そう、信じよう。


今までとは違う生活が待っているはずだど。


必要とされている場所のはずだと。


この頃の私は、そう信じていた───。