本当の友達




「部長と楯山、ちょっと来て」


「はい……」


それは突然だった。


いつものように練習に来て、いつものように練習前の自主練をしていた時に、顧問は私と小桜さんを呼んだ。


「はい。2人でですか?」


小桜さんはなんで私と?と言いたげな顔で返事をした。


「そう。2人。いいからこっち来て」


顧問のすぐ後ろを小桜さんが。私がその少し後ろを歩く。


顧問が足を止めたのはいつも自主練をしている空きスペースだった。


そして、私と小桜さんに向かい合うよう指示した。


何が…始まるの。


「さて、部長。楯山に言うことがあるよな?」


顧問のその言葉がまるで合図になっていたかのように、小桜さんは嗚咽を洩らし始めた。


……泣いてるってことは、まさか。