本当の友達

「本当なら部内の話なんて持ち出すものじゃないんだけど、ちょっと見ていられなくてね…」


「え、っと…」


否定するとこも頷くこともできず、沈黙が続いた。


それは先輩にとって、肯定を意味していることは私でもわかった。


「演奏に影響する問題なら、解決しないと後に響く…。それに今は来年に向けて演奏の精度を上げる大事な時期。
私の勝手なおせっかいになるけど、でも、他にも気づいてる人はいると思う。
部長と一緒になっている子たちもいるけど、そうじゃない子もいる。」


「そんな、人、いません……」


「少なくともバリサクの男の子は美玲ちゃんの事を一緒になって無視したりなんてしてないと思う。副部長の子もでしょう?
全員が全員そうじゃないと思う。」


バリサク…バリトンサックスの男の子は、物事をはっきりいう子で、小桜さんは少し嫌っていた。


私が自信なく演奏してる事もはっきり言うものだから、正直少し苦手だった。