靴を入れ、上履きを履くと、私はくるりと方向を変えた。
音楽室は4階。
それまで誰とも会わなければ、ひとりで音楽室へ足を踏み入れることになる。
それだけは、なんとしてでも避けたい。
あいさつ・・・・・をされず、あの空間に空気のように入るのは、至難の技。
小桜さんは私にあいさつは絶対にしない。
なら、他の人と一緒に紛れて入ったほうが一番手っ取り早い方法なのだ。
タン・・・・・タン・・・・・と、1段1段階段を登る。
音がなる度に4階から発せられる恐怖が、私を襲う。
部員は、なにも全員が私を無視しているわけじゃない。
話てくれる人は、いる。
パーカッションの、新田柚菜(ユナ)ちゃん。
一年生で、私と唯一話をしてくれる子。



