先生すら、私を無視する。


無視というよりも、“見てもらえない”っていう表現のほうが正しいかも。


私がどんなに救いの手を求めても、先生はいじめに気づかない“ふり”をするんだ。


先生にとって、私はそこまで価値のない存在であって、私は必要じゃないということがわかる。


1度助けを求めてみたけれど、それはことごとくスルーされ、私は部の中で完全に浮いてしまっていた。


そんなときだった。


『ねぇねぇ、みんなでプール行かない?』


小桜さんが、“みんな”をプールに誘ったのは。


もちろん、“みんな”は喜んで、口々に『楽しみだねぇ!』なんて言っている。


でも、それは、私には、ない。


小桜さんは、“みんな”の中に、私を入れてはいなかった。


小桜さんにとっての“みんな”は、私以外の、全員のこと。


私はあえて、賛同しなかった。


私が行かなくても、きっと皆は楽しめるだろう。


逆に、私が行かないほうが、きっと皆にとってもいいだろう、と。