「何見てんの?陽菜ちゃん!」


優雅の声に振り向きもせずに、私は市役所を見つめていた。



昨日の電話で、晴斗王子は言った。



『明日、陽菜の好きなシャツ着ていくよ』って。



それを亜沙子に言うと、亜沙子は王子は軽い男だって心配していた。

遊ばれてるのかも知れないけど、そう感じない。



王子はただ優しいだけ。



「あ!!!!本当に着てる!!」



私が大声で叫ぶと、教室に入ってきたばかりの亜沙子が駆け寄った。


王子が、ピンクのシャツを着て、私に向かって手を振ってくれた。





遊ばれてたっていいもん。


女子高生に好きだって言われて、ただからかってるだけでもいい。



王子が好き。


だからいいの。