浮かれ気分の私と亜沙子は、ノートを広げたままお弁当を食べていた。


王子が市役所にいないのも今日が最後。


来週からは、王子と手を振り合える。



電話だけだった関係から、少し進んだ私と晴斗王子。




会いたいって思ってしまう。


王子に抱きしめられた感触が残ったままで、思い出すと顔が熱くなる。




「陽菜も私も同じ日に抱きしめられちゃったね。」



「すごい偶然だよね!今日も小早川の部屋行くでしょ!?」




亜沙子は、う~んと悩むフリをしたが、気持ちは決まっていた。



「今日もぎゅって抱きしめてくれるといいね!」


「でも、代わりだもん。さちって誰なんだろう・・・先生を振っちゃうなんてひどい人。」



小早川の声を思い出す。


相当好きなんだなって感じたんだ。




小早川のイメージがガラっと変わった1日だった。


教師って、生徒から見ると、ずっと『教師』なように感じてしまう。


でも、教師だって一人の人間であり、男であり、女であり、恋もするし、失恋だってする。




でも、泣いているわけにも行かず、学校に来れば、教師の顔になる。



大変なんだな・・・


生徒の前で、恋愛に悩む姿なんて見せられないもんね。