夕雨は小さく笑う。

それから、立ち上がって───それで、彼女が制服を着ていることに気づく。そうか、今日、文化祭で。


俺もつられて立ち上がろうとする、が、頭の痛みでふらりとまた倒れてしまいそうになる。


「スイは、体調がよくなってから学校きなよ」

「……おーわり」



そして、夕雨はドアを閉める寸前で、


「……もしかして、スイさ、思い出した?」


と聞いてくる。何が、と聞き返す前に夕雨はばんと叩きつけるようにドアを閉めてしまったのだけれど。


それから、しばらくして体調が本調子ではないけれど俺は学校へ向飼うことにした。

歩いて校門を抜けると、でかでかと作られた大きな門には『ようこそ!』と書かれた文字。

下駄箱へ向かう道はかなり人で混雑していて、屋台やら勧誘やらで人に飲み込まれそうだった。俺はほとんど顔を出していない教室へ取りあえず言ってみた。