私が中3の時、姉はとっくにグレていて、夜の仕事で
母が家にいないせいもあり、我が家は不良のたまり場だった。

たまたま入った、姉の部屋で、見慣れない男の子に目がいった。
カッコいいのに冷めた目・・・何か様子がおかしかった。

缶を口元に置いたまま、吸ったり吐いたり。
シンナー?

気付いた私は、彼のもとへ行き、缶を取り上げた。
「ダメだよ、こんなことしたら。」

後で思えば、話しかけるきっかけが欲しかっただけかも。
一目ぼれなんて大げさなものじゃないけど・・・フィーリング?

なんか、とても彼のことが気になった。

数人いる、そのたまり場で、彼は冷めた目つきのまま、いきなり
私を抱き寄せ・・・キスをした。

時間が止まったように思えた。
ファーストキスはまさかのシンナー味。

気になった男の子にキスされて、ますます気になりだしたのは
言うまでもない。

また、来ないかな。

携帯なんかない時代、次に会ったのは一か月後だった。
やっと、お姉ちゃんたちが呼んでくれたのだ。

付き合うのは早かった。向こうも私を気に入ってたと、言ってくれたから。

初めてまともに付き合った彼氏。
それが1個年上の秀樹。

親がいない夜、毎日のように会いに来てくれた。
それから、結ばれるまで時間は、かからなかった。

お互い、初めてだった。
どんどんのめり込んで・・信じ込んで…
怖いくらい、幸せだった。

とにかく一緒に居たくて・・・
とうとう、家を飛び出した。