「私はサエ派かな。だって自分が同じことされたらムカつかない?好きな人取られちゃうかもじゃん美波に」



ノアの言葉にタイミングを逃した。


「うーん…」

「まぁ…そうかもね」


そしてあたしと聖子はそう答えた。


確かに同じことされたらあたしだってムカつくと思う。

何抜けがけしてんだよって思うかもしれない。

何で本当のこと言ってくれなかったんだろうって。

正直に言ってくれてたら、そっか、良かったね、って。

許せたかもしれないのにって。


美波のことキライじゃないのに…ふとそういう気持ちになった。


「じゃあうちらみんなサエ派だね」


ノアが言った言葉がおかしいとは分かっていた。


「…そうだね」

「うん、サエ派かも」


なのにあたしと聖子は…そう答えてしまって。


それから今みたいな日常になった。


美波をはぶいて笑う、そんな日常に。