―― ……ズバンッ! ……ズバンッ! 心地よいボールの音がテンポよく校庭に響き渡る。 ひとつアウトを取るごとに、女の子達から歓声が沸き起こった。 「雫!水沢君メッチャすごいじゃんっ!あっ、ほら!また打ち取った!」 「う、うん……!」 明里を始め、観客が皆潤君の活躍に色めき立っている。 ―― ……潤君……すごい……。すご過ぎるよ……! ……トクン……トクン…… また胸の奥が息づき始める。 気が付くと、一瞬でもその姿を見逃すまいと、夢中になって潤君を追いかける私がいた。