泣き虫王子と哀願少女



「んっ……! やめてっ……離してっ!!」



先生の腕から逃れようと、体中をばたつかせ必死にもがく私。


だが、そんな抵抗も虚しく先生の体はビクともしない。



どうしよう……どうしよう……どうしようっ……!



混乱する頭で懸命に逃げ道を考えるのだが、当然の如く何も浮かばない。



「リカちゃんっ、お願いっ。止めさせてっ!」



懸命に訴える私を、リカちゃんは妖艶に微笑みながら愉しそうに見つめているばかり。



……どうしたらいいのっ!?



視線を上げると、リカちゃん同様、口もとに笑みを浮かべた先生の顔が飛び込んできた。



「ひっ……!」



このままだと……本当に私っ……!



尋常でない先生の様子に、喉の奥で悲鳴が起こる。


あまりにも恐ろしすぎて、出しているはずの声が声にならなかった。


そんな私を見て、更に愉しむかのように先生が口を開く。



「悪く思うなよ……」


ビリッ


「っっ!?」



次の瞬間、私の制服のリボンが、先生の手によって勢いよく引きちぎられたのだった。