泣き虫王子と哀願少女



ポタリ……



私の頬を一筋の汗が流れ落ちる。


すがる思いで先生の顔を見ると、口角を歪め奇妙な笑いを浮かべていた。



先生……本気だっ……!



ゾクリ、と冷たいものが背筋を走る。



ひたり……ひたり……



先生が徐々に間合いを詰めてくる。



「……やっ……。 来ないでっ!」



ドクン……ドクン……



震える足でジリジリと後退る私。



ガタンッ


「キャッ!」


ドサッ



不運にも床に置かれていた何かに足を取られ、勢いよくお尻から倒れ込んでしまった。



「痛っ……」



激痛のあまり、一瞬その場にうずくまる。



あ……、やばっ……!



すぐに我に返り顔を上げたのだが……



ガバッ


「っきゃっ……! いやっ!!」



時既に遅く、あっさりと力強い先生の腕に組み敷かれてしまったのだった。