―― キーンコーンカーンコーン……



「ん……」



1時限目の終了を告げるチャイムの音が、教室に鳴り響いている。


どうやらいつの間にか眠ってしまったようだ。


眠い目をパチパチさせながら机から体を起こすと、パサリと肩から何かが落ちた。



……カーディガン……。先生がかけてくれたんだ……。



ふと窓辺を見やると、先生が窓の外を眺めながら煙草をふかしていた。


窓から差し込む光が先生を照らす。


潤君とはまた違う大人な雰囲気が漂う先生から、なんだか目が離せなかった。



「ん? 目が覚めたのか?」


―― ドキッ



私に気が付いた先生が、吸いかけの煙草を灰皿へ押し付けこちらへとやってくる。



「あ、はいっ!」



ドキドキドキ……



先程まで頭を撫でてもらったことが急に恥ずかしくなって、変に意識してしまう私。



「体調はどうだ? このまま今日は帰るか?」

「い、いえっ! おかげさまでだいぶ良くなったので、授業に戻りますっ!」

「そうか」



「お世話になりました」と言って慌てて教室を出ようとした瞬間



「雫っ」

「っ!」



突然背後から先生が私の名前を呼んだのだった。