泣き虫王子と哀願少女



「そ、そんなのわかってるもんっ……!」



本当は『よかったね』って言ってあげなくちゃいけない。



「わかってても出来ないんだもんっ!」



私が一番に『おめでとう』って言ってあげなくちゃいけない。



頭ではわかっていても、心と体が全然言う事をきいてくれなかった。



「そっか。そうだよな……。言葉で言う程簡単なことじゃないよな」



そう言って先生は、再び口を閉ざし優しく頭を撫で続けてくれた。