泣き虫王子と哀願少女



ガタッ



耐え切れなくなった私は、そのまま机へと顔を伏せる。


とにかく悲しくて辛くて、もう限界だった。



そんな私の頭に、不意に温かいものがそっと触れた。



「っ!」



先生の大きな手が、悲しみを溶かすように優しく私を包み込む。



「先生……私っ……」

「深海……」



その途端色々な感情が一気に溢れ出し、声にならない声が教室に響き渡った。



「私っ……もう2度と潤君やリカちゃんの前で笑えないかもしれないっ……」

「…………」

「やっと男の人好きになれたのに……。もう恋なんて出来そうにないよ……」

「…………」



私の頭を撫でながら、ただ黙って話を聞く先生。



やがて ――



「なぁ深海……」

「……?」

「お前、アイツらのこと本当に好きなんだろ?」

「……うん……」

「なら、その2人の幸せを祝福してやるのも、友達として大切なことなんじゃないか……?」

「……!」



先生が今までとは違う真剣な口調で、そう呟いたのだった。