泣き虫王子と哀願少女



「あ…………」

「?」



ショックのあまり、窓の外を見つめながら凍りつく私。



「ん? 雫、どうしたの?」

「…………」



固まったまま動かない私を、明里が怪訝な顔をして覗き込む。



「ごめん明里……。私やっぱり、体調悪いから帰るね……!」

「えっ!? あっ! ちょっと、雫ーっ!」



目の前が真っ暗になった私は、明里の制止も聞かず、現実から目を背けるようにして夢中で駆けだした。