「雫、おっはよ~!」
相変わらず元気のよい明るい声で、明里が抱きついてきた。
「明里おはよ」
「うわっ! 雫その顔どうしたの!?」
余程ひどい顔をしていたのだろうか?
私の顔を見るなり明里が、ギョッと目を見開いた。
「うん、昨日あんまり眠れなかったから……」
「まさかまた水沢君と何かあったの?」
さすがに長年私の親友をやっているだけのことはあって、読みが鋭い。
「えへへ……うん、まぁそんなとこ……」
「雫……」
苦笑いをしながら口を開く私を、明里が心配そうに横から見つめている。
ここ最近、明里には心配かけてばかりだ。
「大丈夫だよ」と言おうとして明里のほうを振り向いた瞬間
「っ!!」
いつも通り自転車に乗って登校する潤君と、その潤君の背にしがみつくようにして荷台に乗ったリカちゃんの姿が、廊下の窓から見えたのだった。

