泣き虫王子と哀願少女



「!」



目の前が暗くなる。



潤君はいったい何て返事をするんだろう……?



震えを押さえるように、両腕で自分の体を抱きしめる。



「宝生……俺は…… ―― 」



ドキン……ドキン……ドキン……



たった数秒の沈黙が途方も長く感じられる。


まるで死の宣告でも受けるかのような苦しさに、どうにかなってしまいそうだった。



―― 潤君っ……!



耐え切れなくなってギュッと目を閉じた瞬間



「んにゃ~!」

「っ!? ニャ、ニャン太!?」



沈黙を破るように、餌をくれとねだる野良猫のニャン太が、私の足もとへ現れたのだった。