泣き虫王子と哀願少女



「どうしようかな」



その場に出て行くのも気が引けて、また出直そうかと踵を返す。



「聞いちゃ悪いもんね」



仕方ない、と足を踏み出した瞬間



「潤、聞いてくれる?」



聞き慣れた声と名前が私の耳に入ってきた。



―― 潤!? それじゃそこにいるのって、リカちゃんと潤君!?



思わず出しかけた足が止まる。



話って、やっぱりこの前言ってた告白?



途端に胸の奥がざわざわとざわめき出した。


聞いてはいけないとわかっていても、地に足が張り付いてしまったかのように、その場から動くことが出来なくなってしまった。



……どうしよう。どうしよう。どうしよう。



不安に胸が押し潰されそうになる。



ドクン……ドクン……



身体中の血液が逆流してしまいそうだ。



……ダメっ!やっぱり怖いっ!



耐え切れなくなって耳を塞ごうとしたのだが



「私、潤のことが好きなのっ!」



それと同時に、リカちゃんの想いがつまった一言が、私のもとへも届いたのだった。