泣き虫王子と哀願少女



「雫ちゃん、やっぱり潤のことが好きなんだ……」

「えっ? いや、えっと……、好きとかそんなんじゃなくてっ……」



どうしたらよいかわからず、思わず否定する私。


その途端、リカちゃんが勢いよく私の両肩をつかみ詰め寄ってきた。



「ほんと!? じゃあ私、潤に告白してもいいよね?」

「こ、告白っ!? そ、それは……ちょっと……」

「なんで? だって雫ちゃんは潤のこと何とも思ってないんでしょ?」

「あー……、えっと、まぁ……」

「じゃあいいよねっ!」



ウルウルとした瞳で念を押すように首を傾ける。



「う、うん……」



有無を言わせない圧倒的な迫力のリカちゃんを前に、結局私は首を縦に振るしかなかった。