泣き虫王子と哀願少女



「え……えっと……、な……んで私に、そんなこと……言うの……?」



完全に停止した頭を無理に動かし、やっとのことで言葉を絞り出す。



「だって、もしかしたら雫ちゃん、潤のこと好きなんじゃないかなって思って……」

「!」



きれいな長い黒髪を風になびかせながら、リカちゃんが上目遣いで私を見つめてきた。



漆黒の瞳には宝石のような涙が溢れている。



あぁ、そっか……。リカちゃんも、泣いちゃうくらい潤君のことが好きなんだ……。



そんなリカちゃんの気持ちを思うと、自分も潤君のことが好きだなどと今更言えるはずもなかった。



「…………」

「…………」



2人の間を気まずい沈黙が流れる。


しばらくそうしていたのだが、いいかげん痺れを切らしたのか、リカちゃんのほうから再び問いかけてきた。