泣き虫王子と哀願少女



「それで、話って何かな?」



屋上の手すりに背を預けながら、珍しく私から本題に切り込む。



「う、うん。えっと……、あのね……」

「?」



どちらかと言えばいつもハッキリしているリカちゃんが、なぜだか今日は妙にモジモジと言葉を詰まらせる。


血色のよいピンク色の頬も、今はピンクを通り越してむしろ真っ赤だった。



もしかして……



女の直感とでも言うのだろうか?


嫌な予感が脳裏をよぎり、胸の奥がざわざわとざわめき始める。



やめて! それ以上言わないで……!



心の中で必死に懇願する私。



やがて ――



「あのね……、私、潤のこと好きになっちゃったの……」

「っ!!!」



最も恐れていた一言が、リカちゃんの口からこぼれ出たのだった