泣き虫王子と哀願少女



「リカちゃん!」



予想外の人物の登場に、目を丸くする私と潤君。



「あれ? 雫ちゃんと一緒だったんだ」



「久しぶり」と、リカちゃんがいつもの天使スマイルで私に話しかけてきた。



「あ、うん、久しぶり……!」



心の準備ができていなかった為、思わず声が裏返る。



「最近雫ちゃん、全然私達の前に姿現さないんだもん。寂しかったよ~」

「う、うん、ごめんね! ちょっと色々忙しくて……」



まさか2人の姿を見るのが辛かったから、などと本当のことを言う訳にもいかず、当たり障りのない返事をする。



「リカちゃん、足はもうだいぶいいの?」

「うんっ! まだちょっと痛いけど、潤が毎日一緒にいてくれるから生活も全然問題ないし!」

「毎日……一緒」



―― ズキン



リカちゃんがニコニコと嬉しそうに言葉を続ける。


それとは対称的に、私の胸は痛みを増すばかりだった。