泣き虫王子と哀願少女



ようやく暑さも下火になり、過ごしやすくなってきた9月の終わり。


私はニャン太に餌をあげるため、ひとり裏庭へと向かっている。



潤君とニャン太に餌をやってた頃が懐かしいな……。



気を抜くと、ついつい感傷モードに浸ってしまうのが最近の私の悪い癖だった。


あ~もうだめだめ、と思いを振り払うようにかぶりを振り再び早足で歩き出す。



「ニャン太、お腹空かせてるかな」



ニャン太の好物である納豆を抱え、ようやく着いた校舎の陰から顔を出した。



「ニャ~ン太! ご飯だ……よ……」



―― ドサッ



「潤君……」



そこにはお日様みたいな笑顔でニャン太と戯れる潤君が、私より先に裏庭にいたのだった。