泣き虫王子と哀願少女



「な……に、言ってるんですか……?」



動揺を隠そうとする私を見透かすように、先生が鋭い眼差しで私を見つめる。



「隠すことないさ。俺はそんなのとっくに承知でお前にアタックしてんだから」

「な、なんで私が潤君のこと好きだなんてわかるんですか!?」

「そりゃお前、自分の好きな女が誰を好きかなんて、見てりゃすぐわかるさ」

「!」


さも当たり前のことのようにひょうひょうと続ける先生。



なんで? 私は潤君のこと見てても、潤君が誰を想ってるかなんて全然わかんないのに……。



考えれば考える程自分が情けなくなる。


今まで私は、潤君の何を見てきたのだろう……?