泣き虫王子と哀願少女



それから1週間ほどたったある日の放課後。



誰もいなくなった2年B組の教室から、ひとり窓の外を眺めているところである。


校庭には目を輝かせながらボールを追いかけるサッカー部や野球部の生徒達。


その脇をすり抜けるようにして、自転車の荷台にリカちゃんを乗せて走る潤君の姿があった。



「はぁ……」



無意識に漏れる溜め息。


リカちゃんとも潤君とも、あれから1度も話せていなかった。



「私も自転車2人乗りしたいなぁ……」



頬杖をつきながら、ポツリとひとりごちる。



「じゃあ俺と一緒に乗るか?」

「っ!?」



私の独り言に呼応するかのように、突然背後から男性の声がした。