「だってさ、あの子が雫に近付く時って、絶対私がそばにいない時なんだよね」
「あっ……」
「私のことを警戒してるのか……。それとも、ただ単に本当に偶然なのか……」
言われてみれば確かにそのとおりである。
リカちゃんが現れるのは、潤君と一緒にいる時か、もしくは私がひとりでいる時ばかりだった。
「で、でもっ! リカちゃんすっごくいい子だよ!? いつもニコニコしてるし、 私のこと助けてくれたこともあったし!」
「まあね。でも、その優しさも最初っから全部計算されたものだったとしたら?」
「っ!」
言葉につまる私。
「誰にでもクールな水沢君に近付くためには、正攻法じゃどうにもならない。だったら水沢君と仲のいいあんたからまず取り込んで、そっから攻めようってのがあの子の本当の目的なんじゃない?」
「それは……」
あまりにも明里の意見が的を射すぎていて、反論の言葉がみつからない。

