「そっかぁ。ようやく雫、自分の気持ちに気付けたんだね」



校舎の屋上で、手すりに寄りかかりながら明里が呟いた。



「うん……」



手すりに顔をうずめ、力なく返事をする私。



結局潤君との会話はあれで終わってしまった。


その様子を窺っていたのか、廊下にしゃがみ込む私を明里が屋上まで連れて来て
くれたのである。



「明里、授業さぼらせちゃってごめんね」

「何言ってんの! そんなこといちいち気にすんじゃないのっ!」



午後の授業をさぼって私に付き合ってくれた明里。


友達って本当にありがたいと、つくづく実感する。



「でさ、そのリカって子なんだけど――」

「うん?」



明里が、若干言いにくそうに口を開く。



「雫の友達だから悪く言いたくなくて今まで黙ってたけど……、あんたもしかして利用されてるんじゃないの?」

「利用?」



思いもよらなかった言葉に、思わず私は顔を上げた。