「どうしよう……」
一度教室へと戻った私は、リカちゃんの荷物を届けるため保健室へと向かっている最中である。
結局あの後、観戦していた他の生徒が潤君の代わりに助っ人に入るという形で試合が再開されたのだが……。
「はぁ……」
溜め息が止まらない。
先程まであれほど晴れていた心も、今はまるで厚い雲に覆われた曇り空のようだった。
「リカちゃん、大丈夫かな……」
青白い顔をしたリカちゃんの姿が目に浮かぶ。
同時に、それを抱きかかえる潤君の姿も目に焼き付いて離れないのだった。
―― ギュッ!
思い出したくなくて、力いっぱい目を瞑る。
「手を繋いだのが、遠い昔のことみたい……」
潤君と手を繋いでいた時はあんなに温かった指先も、今はもう凍えるように冷たかった。

