泣き虫王子と哀願少女



「リカちゃんっ!」



驚きのあまり、倒れ込むようにしてリカちゃんのもとへと駆け寄る。



「大丈夫っ!?」

「…………」



返事がない。


いつもは血色のよいピンク色の頬も、今は血の気が失せ顔全体が青白くさえ感じた。



ど、どうしようっ!?



未だぐったりと起き上がらないリカちゃんに、ひたすらおろおろする私。


周囲の人も皆、どうしたものかと一様に狼狽するばかりだった。



「と、とりあえず保健室へ……」

「ちょっとどいてくれ」



私の言葉と重なるように、人だかりをかき分け誰かが近付いてくる。



「潤君!」



無表情の潤君が、倒れたままのリカちゃんのそばへと歩み寄り膝をつく。


そしておもむろにリカちゃんを横抱きにして抱き上げ、そのまま保健室の方へと向かったのだった。