泣き虫王子と哀願少女




「潤君、もしかしてお化け屋敷も苦手?」

「っ!」



歩くにつれてじっとりと汗ばむ掌に、もしやと思い聞いてみたのだが……。


どうやらまたしても図星だったらしい。



「ぷぷっ! これも私と同じだねっ」

「……。カッコわりぃから誰にも言うなよ……」



ボソリと不満げに呟く潤君。



……苦手なのに、私のために頑張って迎えに来てくれたの?



嬉しくて、繋いだ手にギュッと力がこもる。


先程まではあんなに怖かったこの空間さえ、不思議と今は全く恐怖を感じなかった。