泣き虫王子と哀願少女



「だ、大丈夫!?」



慌てて鞄からハンカチを取り出し潤君へ差し出す。



「あぁ、悪い……」



私のハンカチで脂汗とも思える水滴を拭いながら、潤君が辛そうに空を仰いだ。



「潤君て、もしかして絶叫マシン苦手……とか……?」

「っ!?」



図星を突かれたように、潤君の動きがピタリと止まる。



「ぷぷっ」

「!」



潤君も実は強がっていたことに気が付いた私は、なんだか急におかしくなり思わず笑い出してしまった。



「そんなに笑うんじゃねーよ」

「だ、だって、潤君てばすっごく無理してるんだもんっ。我慢せずに本当のこと言ってくれればよかったのにっ。」

「ジェットコースターが苦手なんて、カッコ悪くて言えるかよ……」



ちょっぴり拗ねた感じで話す潤君が妙に可愛くて、もっとからかいたくなる。


もしかしてこんな潤君の表情、私しか知らないのかな?


そう思うと、なんだか潤君を独り占めしているようで、不謹慎にもすごく嬉しくなってしまったのだった。