泣き虫王子と哀願少女



「あれ? リカちゃんは?」



潤君と一緒にいたはずのリカちゃんの姿が見当たらない。



「あぁ、トイレだと」



私の隣に潤君が「ふぅっ」と腰をおろし、先程の炭酸飲料の缶を差し出してきた。



「ほらよ」

「あ、ありがと」



冷やっとした感覚が、残暑で火照りきった体にとても気持ちいい。



潤君も喉の渇きを潤すように、無糖の缶コーヒーを一気に飲み干していた。



「絶叫マシン満喫できた?」

「あ、あぁ、まあな……」

「?」



なんとも歯切れの悪い答えが返ってきた。


どうしたのだろうと、隣の潤君へ視線を向ける。


すると、潤君の額から尋常ではない量の汗が滝のように流れていた。