「雫ちゃん、大丈夫?」
私の前の席で一緒のジェットコースターに乗っていたリカちゃんが、心配そうに私の瞳を覗き込む。
「う、うん、ごめんね、大丈夫」
本当はまったくもって大丈夫ではないのだが、心配をかけたくなくて無理に強がってみる。
「リカちゃんは大丈夫なの?」
よれよれの私とは対照的に、少しの髪の乱れもなく、涼しい顔をしていつも通りニコニコしている。
この差は何だろう?と不思議に思い聞いてみたのだが……
「うん! 私、絶叫マシンだ~い好きだもんっ!」
「そ、そっか……」
そう言って満面の笑みで微笑むリカちゃんが「次はどれに乗る?」と腕をからめてきた。
「ご、ごめん。ちょっと私ベンチで休んでるから、潤君と行っておいでよ」
さすがに強がるのもこれ以上は無理である。
チラリと横目で視線を送ってくる潤君にも、申し訳なさげにヒラヒラと手を振って示す。
残念だが、今の私にはまだまだ元気な2人の背中をただ見送るしかなかった。

