うれしそうな顔をした祐司は小花をかばいながらどんどんゴールを目指して走り始めた。


「ちぇっ、兄貴のやつ、やけにうれしそうじゃないか。
まぁ、小花ちゃんほど年の離れたかわいいマドンナを守りながら突き進むってのもカッコいいけどな。」


「我々も負けられませんよ!」


「おぅ!」


達哉と佑子も祐司と小花の後を追って走っていたが、ゴール近くまできたところで待ち伏せされて撃たれてしまった。

「うわあ!!やられた・・・。」


「あははは、でもおかしい。
私たちはダメだったけど、きっと祐司さんたちはいきましたね。」


「そうだな。賞金から何かおごってもらおうぜ。」


結局、無事ゴールまで行けた祐司と小花は第3位で副賞1人3万円もらえたのだった。


4人でショーを見て食事をする。


「兄貴たち、運もよかったんだな。待ち伏せ組よりも速かったってことだろ?」


「そうだな。こういう企画ものっていうのは、ある程度時間を要するとそれだけ困難になるようになってるものだ。」


「そうなんですか?」


「企画してる側も仕事を早く済ませて帰りたいだろ?」


「まぁ・・・そうですね。あははは。祐司さんってするどいなぁ。」


「普通に仕事してる大人だからね。」


「メガネしてるんですね。」


「ああ、さすがにコンタクトをずっとしてるのはつらくてね。
カジュアル用のメガネだけど、変かな?」


「いいえ。そっちの方がカッコイイです。
この前のいかにもビジネスマンっていうのは、怖そうに見えましたし。」


「そっか。やっぱりあれじゃ冷たく見えてしまうんだな。」


「気にしておられたんですか?」


「じつを言うとそうだね。
できる男に見えるけれど、近づきがたいってよく言われてた。
最近はもうどうでもいいことな気がするんだけどね。」


「あら、もったいない・・・美形な方は年齢に関係なくプレイボーイぶってくれなきゃ、ネタにもならないわ。」


「へっ?」


「ぷぅーーーー!!もう、小花ったら・・・お仕事モードを離れないとぉ!
もう、はずかしいですよ。
そんな大きな声をあげて、言っちゃ・・・はずかしい。」


「ところで小花さんって職業は何?」


「だからその・・・。」


「小説家なんですよ。ペンネーム晴波優樹菜(はれなみゆきな)って言えばわかりますか?」


「晴波優樹菜って・・・最近本屋さんの入り口とかにドカッって置いてあるあの小説の・・・!?」


「そうだったのかい?それで・・・プレイボーイって・・・。ぷっ、ぷあははははは。」


「祐司さん?」


「いや、まさかベストセラー作家だったとは、驚いた。
その先生に僕はネタにもならないって言われてしまったんだなっと思ってさ。

でもそのユニークな発想は面白いね。」