この180センチくらいありそうな長身を活かしてバスケをやったらいいのに!と思いながらもわたしは



「こんにちは」



と彼にあいさつをして後ろを通り過ぎた。



だけど彼はこっちを見るだけで、何も言葉が返って来ることはなかった。



そして逆側を見ると、同じように窓を開けてるもう一人のマネージャーの佐倉詩織(さくら しおり)の姿があって



わたしは彼女に向かって「詩織ー!こっち開けるね!」と大きな声で叫んだ。



すると「はーい!ありがとー!」と返事が返ってきて、わたしは上下にある窓を一つずつ開けて行った。



下の窓はしゃがんで開けられるけど、上の窓は背伸びをしてやっと届くくらい……。



開けることはできるけど、鍵を締めるのはキツそうだ。



半コート分の窓を開けると、わたしは2階のギャラリーに再び足を進める。



さっきの彼はフロアにいるバスケ部を見つめていたけど、わたしの足音に気づいたのかまたこっちを見て



でもわたしはさっきあいさつしたけど返ってこなくて気まずいから、ペコっと頭を下げると階段のところに急いで向かって駆け下りた。