ケラケラケラケラケラ!!
ケラケラケラケラケラ!!

リビングにたくさん現れた白い小さな式。リビングの上空をケラケラと不気味な笑い声を挙げながら漂っている。その下では、そこにいた誰もが意識を失っていた。しかし、その中でスーツの男たち数体がむくりと起き上がると、アイコンタクトを取り始めた。彼らは、瀧蒸と尚澄が送り込んだ刺客(=スパイ)だった。ある者は、香澄の護衛として、またある者は美麗や徳良の部下として潜り込んで情報収集。それを、尚澄と瀧蒸に報告していたのである。

「ま・・・ち・・・なさい。」

美麗は、微かに取り戻した意識の中で声を無理くり絞り出していく。しかし、その声に耳を傾けることなくスパイ達は部屋を後にしていくのだが・・・

「俺の顔、見忘れたとは言わせねぇからな。」

あるスパイはそういいながら、椅子の上でうなだれる美麗の視界に入るようにしゃがむと、ゆっくり眼鏡を外す。光を失った瞳がじっと美麗の顔を見つめ、怒りの篭った言葉を叩きつけた。


「許さねぇからな。」


その一言を吐き捨て部屋を後にしたその男。美麗は、薄れ行く意識の中ではっと思い出す。この世界に来た時のこと。その男のことを・・・