「総司の手、温かいよ?風も感じる、庭の木も見える。私が作ったお粥も、美味しいって言ってくれる。生きてるからこそ感じられるんだよ」 「……桜の手も、あったかい」 「生きてるからね」 桜は淡く笑い、僕の手を離した。 丁度、その時。 バンバンッ!と乱暴に扉を叩く音が家の中に響き、桜が腰を上げた。 思わず僕は、クスクスと笑った。 「相変わらず荒いなぁ。あの人に違いないね」 「ふふ、そうだね。じゃあ私行ってくる」 桜はそう言うと、部屋の中から消えていった。