色々思想はあるけど難しくて、深く考えたことはない。
国のために自分の考えで忠義を尽くす。
ほとんどの武士は、それを貫くであろう。
しかし、自分は違った。
幼い頃からの師である近藤さんにさえ尽くせれば──それで良かったのだ。
そんな気持ちとは裏腹に、自分の体を蝕んでいく病。
血を吐く回数は、日を重ねるごとに増えていき、やがて布団から起き上がることが出来なくなってしまった。
刀を握る、というのも無理な話だ。
何故、自分の体はこんなにも弱いのだろう。
何故、刀を持って立ち上がることが出来ないのだろう。
時の流れと共に、布団にいる自分の傍らで、皆は武士になっていく。
近藤さんに尽くしている……それなのに、何故自分がこんな病にかからないといけなかったのか。