校舎に入るとそこまで汚くはない。

見かけによらないな。

取りあえず理事長室?とかに行けば

いいのかな?

勘を頼りに歩いているとそれらしき

部屋があった。

…初っ端からついてるな。

コンコン、ガラガラッ

「…失礼します」

中に入って驚いた。

理事長室にいたのは私の兄だったのだ。

向こうは気づいていない。

それは私の容姿が違うからだ。

生前とは異なっている。

同じだと不信感を持たれてしまう

かもしれないからだ。

まあ、死んだ人間を生きてると

思うかどうかも怪しいが、念のためだ。

向こうが気づいてないのなら

こっちは平然としているしかない。

「あの、すみません。
 近々転校してくる予定の綾瀬光です」

もちろん名前も偽名を使う。