携帯が鳴って外に出て行った泰輔が部屋に戻った時、友達がこう言った。



「おい、また彼女?遠距離恋愛がんばるなぁ」



彼女…!?



なんだ彼女いるのか…



私は一気にテンションが下がって、何も歌う気にもなれず喋る気にもなれなかった。


いいなと思う人には彼女がいるんだよね。

「どうしたの?なんか元気ないけど…」



泰輔が隣に座って来た。



あんたのせいだよ…



「別に…」



泰輔から視線をそらして言った。


そんな私をじっと見る泰輔の視線を完全に無視してると…



「外行こう」



泰輔は私の手をひいて連れ出した。


大きな手、温かい手。

一体何…?



私はもうすでに泣きそうになっていた。