「おぉ!
ドライヤーあった、あったー」


晃が、洗面所にある戸棚を開けて、手にドライヤーを持つなり、咄嗟にそう叫んだ。

まるで、幼い子供が宝物でも見つけるかのように…


「良かったね!!
ドライヤーあって」


「おう
それより、鈴
鏡の前に立ってくれ」


私は、晃に言われるがまま
鏡の前に立った。

鏡に映る自分は、とても満悦の笑みを浮かべ
非常に嬉しそう。


今の私、ちゃんと笑えてる。



珍しくえくぼも出ている。





表情豊かな天使みたい。



純白の羽を、大きくバタバタさせ、これから明るい世界へ飛び立っていくみたいに………



私は変われる。
生まれ変わるみたいに
過去のことは、流せる分だけ水に流して
一から全てをやり直す。


これは、自分と向き合う良い機会なのかもしれない。



普段見れていない自分が、こうやって素に現れるんだね。


笑えるって幸せなんだ。

泣けるって感動してるんだ。


悲しいから泣くんだ。




自然とともに風を感じ、大地を踏みしめながら
新たな一歩を。

これから歩き始めるんだ。




その私の隣には晃?
晃がいる?



手を繋ぎながら…
酸素が新鮮な山と
人の横顔を、太陽みたいにそっと光を灯す夕日が
ぴったりと重なった時間帯に、一緒にジャンプして




未来を思い描くように…





晃が今の私の理想像なのかもしれない。



その理想像が大きく膨れ上がっていく。