「晃、これも冗談の分類に入る?」


「これは冗談じゃない
本気だ」


「じゃあ、キスする」


「…」


そっと私は、晃の頬にキスを落とした。

晃からはバニラの香水のような、甘い香りがする。

頬がとろけそうないい匂い。

ふんわりとした、ふわふわのパンケーキみたい。


晃、今一瞬頬赤くなったよね?

私は、ちゃんと捉えた。

頭の中で、ものすごい数のシャッターが連写したもん。


それにしても私、一体どうしたんだろう。

さっきまでの強気な私は、どこへ行ったんだろう。


我に返ると私はもう晃の虜になっていた。


「晃いい匂いする」


「あぁ、これ?
俺、バニラ系の香水結構好きなんだ
キツくもなく、丁度いい感じのな」


「そうなんだ…
ねぇ、晃?
私のキスどうだった?」


「今したキスか?」


「うん」


私は唾をごくりと呑み込み、晃からの返事を待つ。


"女じゃないな"とか

"下手くそ"とか言われたら、悲しいなぁ。



頬キスだけに、ね。